「美学生図鑑って、一体どんな人たちが作っているの?」という疑問に迫る、シリーズ『美学生図鑑の中の人』。第14弾は関西でカメラマンとして活動している水野雄太(立命館大学大学院2年生)。
「俺の写真には作風がない」と語る彼。でも、その特徴の無さが美学生図鑑では上手く活かされたそう。自身の写真活動のルーツや、印象に残っているモデルさんなどについて語ってくれました!
二度と応募してやるか!って思いました
―まずはカメラを始めたきっかけを教えてください。
高校の時に写真部に入ったのが始まりですね。友達に誘われて部活見学に行ったらすごく緩そうな雰囲気で、楽しそうだなと思って入部を決めた感じです。
部活では学校行事や他の部のイベントごとの記録写真を中心に撮っていました。行事に出るのを面倒くさいと思うタイプだったので、記録係という立場にかこつけて写真を撮っている方が気が楽だったんです。
―ポートレート(人物写真)を撮り始めたのはいつからですか?
高校3年の頃です。自分で言うのもあれですけど、「向いてるな」と感じました。今振り返ると機材のレベル的にも俺の技術的にもまったく世の中に出せるようなものじゃないですけど、でも、なんとなく他のジャンルの写真よりかは手応えを感じたんですよね。
ポートレートを撮るには「この人はこういうところが魅力的だよね」と捉える力と、それを切り取るための技術の両方が必要だと思っていて、自分はおそらくそれが得意だったんじゃないかなと。
美学生図鑑の存在を知ったのはちょうどその頃だったと思います。何がきっかけで見つけたかは忘れてしまいましたけど、ぼんやりとサイトを眺めながら「いい機材を買って練習をしたら自分もこれくらいの写真が撮れるのかな〜」って憧れていたのを覚えています。
―大学に進学してからはどんな活動をしていましたか?
1回生の時に写真サークルに入って、2回生の時にはミスキャンパス立命館の運営団体でカメラマンを務めました。
ミスキャンでは12名のセミファイナリスト(※2019年まではセミファイナルイベントを実施)のお披露目写真を撮ったり、夏休みには色々な協賛企業さんとのコラボ企画があったのでその記録写真を撮ったりしていましたね。
なかなかハードな撮影も多くて、嵐山の浴衣レンタル店とのコラボ撮影では、6人のファイナリストの写真を一人ずつ撮るために猛暑の中、渡月橋と竹林を3往復、2万5000歩くらい歩いて写真を撮り続けたことなんかもありました。帰ったらすぐに現像して、送って、また次の日も撮影、みたいな。おかげでタフさは身についたと思います。
―その後、2回生の終わりに美学生図鑑のカメラマンに応募しました。
ミスキャンのカメラマンをやっている時から、これが終わったら美学生図鑑に応募しようって思っていたんです。作例もだいぶ溜まってきたので今なら挑戦できる!と思って。
でも、不採用でした……。
―一度落とされたんですね!
マジか!と思いました。俺は結構根に持つタイプなので、俺を落とした美学生図鑑になんか二度と応募してやるか!って思って、そこから1年くらいはマイペースに写真活動を続けていました。
―再度応募しようと思ったきっかけは何だったんですか?
ある日、俺がカメラマンだった代のミスキャンファイナリストの津田朋佳さんがポートレート撮影に誘ってくれて、その時に「もう一度挑戦しましょう!見返してやりましょう!」って背中を押してくれたんです。
それから、関東カメラマンの坂井さんのインタビュー記事を読んだのも応募を再検討するきっかけになりましたね。
「美学生図鑑って、一体どんな人たちが作っているの?」という疑問に迫る、シリーズ『美学生図鑑の中の人』。第8弾は関東のエースカメラマン、坂井高久。 早稲田大学大学院で建築学を専攻する傍ら、2年連続でミス青山特集の撮影を担当。モデルさんの自然[…]
坂井さんがご自身の撮る写真について「カメラマンの存在を感じさせない写真」「でも、どこかで自分が撮ったということは分かってほしい」とおっしゃっていて、うわーめっちゃ分かるなぁ〜って。すごく共感したし、こういうカメラマンを求めてるんだってことを改めて知ることができました。
大切にしているのは素材の良さを活かすこと
―4回生の春、2度目の挑戦で晴れて美学生図鑑のカメラマンになることができました。実際に入ってみてどうでしたか?
これまで写真について体系的に学ぶ機会が無かったので勉強になることが多かったです。ミスキャンの時は教えてくれる先輩もいなくて「好きにやってください」って任されていたので、ずっと自分の感覚だけを頼りにやってきてたんですよね。
特に現像に関しては、それまでは明るさを変えるくらいしかやっていなかったので、ここまで色味とか細かく調整するんだ?!という学びは大きかったです。
―これまで撮影した中で印象に残っているモデルさんはいますか?
2人いて、一人は2022年のミスキャンパス立命館ファイナリストの小河瞳子さん。彼女はお披露目写真を一目見て「撮れる」と思いました。どんな場所でどんな雰囲気で撮ろうっていうインスピレーションがぱっと降りてくる感じ。
実際にお会いして撮ってみて、写真写りはもちろん、ファイナリストとしての姿勢も100点満点で素晴らしいモデルさんでした。しかも、小河さんがミスキャンに応募したきっかけが高校の部活の先輩の津田朋佳さんだったというご縁もあって、撮影中は津田さんの話で盛り上がりましたね。
小河さんはその後、プライベートでも何度か撮らせてもらったんですけど、なんというか俺がカメラマンとして持っているものを全部使いきれている気がするんです。指示をしたら一発で理解してくれるし、波長が合う感じ。カメラマンとしてとても有り難い存在です。
もう一人は、これまたミスキャンなんですけど、昨年のミスキャンパス立命館ファイナリストの大塚咲妃子さん。彼女はSNSの使い方が独特で、会うまではどんな人なのかなって心配していたんですけど、実際にお会いしてみると気品あふれる方で、すごく真面目で、信念を持って活動に取り組んでいることがわかりました。
撮影に関しては、被写体経験がたくさんあるわけではないんですけど、自分の見せ方をとてもよく理解しているし表情も豊かですごく撮りやすかったです。
ちょうど先日、プライベートでも撮影させてもらいました。
インスタグラムのストーリーズで彼女がこういう系統のファッションを載せていて、いいなぁと思ったのでストリート風に撮ってみました。
場所は大阪の中崎町と心斎橋。夜には珍しくフラッシュなんかも炊いちゃってカッコいい写真に仕上がりました。彼女はどう撮ってもバチッと決まるので撮っていて楽しいです。
―撮影するときに大事にしていることはありますか?
美学生図鑑に載る人って皆さん元から美しいので、自分がどうこうするよりも彼女らが持っているものをシンプルにそのまま写すことを第一に考えています。俺は作風がないタイプのカメラマンなので、モデルさんの素材の良さを活かすという点では自分の癖の無さが良い働きをするんじゃないかと思いますね。
“盛れる”という感じではないので好みは分かれるでしょうけど、記録性という点では俺の写真は時間が経つと価値を発揮してくると思います。
孤独死したくないから活動を続けます(笑)
―これまで約3年間、美学生図鑑という組織で活動してきて、良いなと感じることはありますか?
まず、リスペクトできる仲間たちの存在は大きいです。写真というものを多角的に見れるし、色々なカメラマンのスタイルを吸収できる。ここに入ってから自分の写真のレパートリーが増えたなと感じるし、それはインプットの絶対量が増えたからだと思います。
それと、幹部の方々が個々のカメラマンのスタイルを尊重してくれるのも有り難いなと感じる点です。編集長もきっと理想の写真というのが自分の中にあるんでしょうけど、我々カメラマンの撮ってきた写真を決して根本から否定することなく、真摯に向き合ってくれるのが嬉しいです。
―大学院を卒業し、春から社会人になる水野くん。今後の進路と美学生図鑑との関わりについて聞かせてください。
卒業後は大手メーカーでディスプレイを作る仕事に就きます。具体的にはパソコンやテレビのメーカーから依頼をもらってディスプレイの開発・設計・評価・納品をするといった内容です。巡り巡って写真を見る液晶を作る仕事に関われることになったのはご縁を感じるし、非常に意義のあることだなと思いますね。
美学生図鑑には卒業後もスタッフとして残る予定です。というのも勤務地が田舎なので、美学生図鑑を辞めてしまったら仕事以外にコミュニティが無くなって孤独死してしまいそうなので……(笑)
それに、こうやって3年近く所属し続けているってことはそれだけ肌に合ってるということだと思いますし、せっかくなのでこれからも休日などを利用してマイペースに活動を続けていけたらと思います。
―最後に美学生図鑑のカメラマンへの応募を検討している人へメッセージをお願いします!
まず俺が言えるのは、2回目ワンチャンあるぞ、と(笑)一度応募して駄目だった人も、前回から成長したなと思ったら再チャレンジしてほしいです。
あと、自分の写真に特徴がないなと悩んでいる人がいたら、そんな人にこそ応募してもらいたいですね。SNS全盛期の今、作風のないカメラマンって評価されにくいじゃないですか。そういうカメラマンが力を発揮できて評価してもらえるのが美学生図鑑という組織だと思うんです。我こそはと思う人がいたらぜひ門を叩いてもらいたいです。
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