原動力は“自由”と“非日常”【カメラマン小森すみれ】

美学生図鑑ってどんな人たちが作っているの? という疑問に迫る、シリーズ『美学生図鑑の中の人』!
第4弾は、不登校から一転、3か国の学校を渡り歩き、現在もアイルランドの大学に在籍しながら日本で美学生図鑑の「カメラマン」として活動する小森すみれ。そのちょっぴり異常な海外遍歴やカメラとの出会いについて語ってもらいました。(取材:河村拓実)

退屈な日常からの脱却 海外との出逢い

―まず初めに、小森さんの経歴について伺いたいと思います。海外での生活が長いそうですね?
日本でいうと高校1年生に当たる時期から、アメリカのカリフォルニアにある芸術専門学校に行っていました。そこでは色々な芸術系の授業の中から自由にカリキュラムを組めて、私は作品を分析する「芸術理論」をメインに勉強してました。

―どういった経緯でアメリカに?
地元での生活に耐えられなくなっちゃったんです。小さな人工島に住んでいたんですけど、私にとっては刺激のない退屈な生活で……。

反抗期になると家族と一緒にいるのも嫌になって、15歳の夏に自分だけで何かしようと思ってアメリカのボストンに1人で6週間滞在したんです。新しい街で家族もいないし、1人で知らない街にいるっていうのがもう最高に楽しくて!

その楽しさを味わってしまったので、帰ってきてからは島での生活がいっそう耐えられなくなっちゃって……それから高校も不登校になってしまったんです。

―なるほど……それでアメリカに?
はい、退学になるくらいなら出ていってやろう!と思って他の学校を探しはじめました。カリフォルニアの芸術学校を自分で見つけて、親に何も言わずに手続きも1ヶ月くらいで全部自分でやりました。

あとはもう行くだけって時に初めて親に「フライト代出してほしい」って伝えたら、しぶしぶながらも了解をもらえました(笑)

―ものすごい行動力ですね(笑)アメリカでの学生生活はどうでしたか?
もう最高でした!山奥にある森で暮らしていたんですけど、都会から来た人にとっては、映画『ナルニア国物語』(アメリカのファンタジー映画)のような世界観だったんです。

小屋みたいな寮で先生と一緒に暮らしていたんですが、夜中に寝ていると「熊が出た!」って言って叩き起こされるんですよ。最高じゃないですか?(笑)

他にも蛇や山猫は出るわ、自然災害にもしょっちゅう遭うわで今までに無かったような体験をたくさんしました。何もかもが整備されていた地元とは違って、まさに“非日常”って感じでしたね。

―すごい生活ですね……!
もちろん勉強もしっかりと取り組んでいました。普通の高校と同じ内容の授業もあって、その上で芸術の授業も受けるので多分普通の高校よりはハードでしたね。
芸術の授業はすごく楽しくて、夜通しスタジオで版画の作品造りに専念したり、ファッション専攻の友達に頼まれてファッションショーのモデルをしたりしたんですよ。

一度デッサンの授業にヌードモデルが登場する回があって、受講するのに親のサインが必要だったんですけど反抗期だったのでサインを偽装ちゃったなんてこともありました(笑)

その学校には2年半くらいいたんですけど、「もっとここにいたい!」って思える場所でしたね。

やっぱり日本は刺激がない!再び海外へ

―卒業後はどうしたんですか?
大学は日本にしようって決めて、東京に憧れて上智大学に進学しました。

でも、やっぱりカリフォルニアでの経験が最高すぎて、簡単には都会の生活に戻れませんでした。授業もつまんないし、話の合う学生も少なくて、何より刺激がなかったんです。それで最初の1学期で辞めちゃいました(笑)



―え!それからどうしたんですか?

勉強自体は好きで続けたかったので、1年の8月からアメリカの大学に半年間短期留学して、さらに日本に帰ってきた8ヶ月後にアイルランドのダブリンにある大学に留学しました。

―何だかややこしいです(笑)アイルランドの大学はどうでしたか?

1年目はあまり馴染めませんでしたね。同じ英語圏でもアメリカとは歴史、人との接し方、マナー、全部が違ったんです。アメリカではグイグイくる感じだったのが、アイルランドはどちらかというと放っておいてくれ、って感じで。

―カルチャーショックがあったんですね。
はい。でも、2年目は慣れてきて、日本文化サークルの会長を務めました。日本好きなアイルランド人が集まって、日本のアニメとか歴史とかについて話し合うんです。

交流会やカラオケパーティーなど、毎週色々なイベントを開催しました。人のために何か楽しい場を作るっていう経験が私にとってはすごく楽しかったです。毎晩夜中の2時とか3時くらいまで大学に残って作業していましたが、全く苦にならなかったですね。

初めての撮影まさかのミス!心臓が止まりかけました……

―何だかすごい経歴ですね。ところで、そろそろカメラの話を…….。小森さんがカメラを始めたきっかけは?
高校の時に友人に勧められたのがきっかけです。私はずっと絵を描くことが好きで、高校時代も写真をもとにして人の顔をよく書いていたんですけど、あまり色のセンスがなくて……そんな時に友人に勧められて写真をやってみようと思ったんです。

―カメラを始めてみてどうでしたか?
すごく面白かったです!私はもともと機械が好きだったので、カメラについても中がどんな風になっていて、どんな仕組みで動いてるんだろうと考えながら使ってみました。
実際にいじってみると色々な機能があって、組み合わせ方次第で全く違った写真になるし、機能をどんどん足すと自分の作品が出来上がるんです。その組み合わせを探るのがとても楽しかったですね。

―その頃はどんな写真を撮っていたんですか?

人の顔を撮るのが好きで、友達の写真をよく撮っていました。といっても本格的なポートレートではなくて、日常の中で自然な表情とかを捉えていましたね。後から一緒に見返して、撮った時のことを思い出すのが楽しみでした。

―なるほど、それで人を撮れる美学生図鑑のカメラマンを志望したんですね?
はい、大学生になっても人の写真を撮りたいなと思っていた時にちょうど美学生図鑑を見つけて、すぐに応募しました。大学1年の夏休みのことです。

―初めての撮影はどうでしたか?

色々と苦労しましたね。実は初めての撮影でいきなりカメラのバッテリーを忘れてしまったんです!気づいた瞬間、心臓が止まりかけましたよ、「やっちまったーー!」って(笑)

幸いにも同行してくれた先輩カメラマンの方がたまたまバッテリーを持っていたので事なきを得ました。

初めてのモデルさんは私と同じ名前のすみれさんという方だったんですけど、学年が3つも上だったんです。でも、私は高校時代をアメリカで過ごしてきたので、日本の先輩・後輩っていう感覚が分からなくて……。そんな中でカメラマンとして指示は出さなきゃいけないしですごく緊張して、今写真を見返してみてもあの時の緊張が伝わってきます(笑)

すみれさん(2016年1月掲載)

幸いすみれさんがめちゃくちゃ優しくて、先輩カメラマンもついてくださったので少しはプレッシャーが和らいで、何とかやりきりました。

―今でも緊張しますか?

いや、最近は撮影にも慣れてきて、楽しめる余裕が出てきました。何回も撮影をするうちに自分のカメラの腕にも自信がついたし、ポージングの指示や撮る角度、撮影のルーティンも掴めてきたからかな。今では「これくらいで必要な分は撮れたな」って感覚でわかるようになりました。

中でも今年撮影した法政大学の梅原早紀さんの撮影は今までで一番楽しかったですね。後で写真を見返して見たら、ほとんどが笑ってるんです。それを見て、そういえば自分も撮影中、楽しくて笑ってたな〜ってことを思い出して。

梅原早紀(2019年9月掲載)

その時は研修中のスタッフがいたり、先輩カメラマンの貴一さんが来てくれたこともあって、みんなでワイワイしながら撮影できましたね

ちなみに、そのあと梅原さんは美学生図鑑のインタビュアーとして、スタッフに仲間入りしてくれたんです!

“日本人離れ”した自分に自信を持てるようになった

―あれ?結局、小森さんは今まだ学生なんですか?
アイルランドの大学に在籍してます。卒業までの単位が残りわずかなので、今は日本に帰ってきていて通信で単位を取っています。

―なるほど!では、もうすぐ卒業ですね。今後はどういう道に進みたいですか?

美学生図鑑や海外での経験を活かして、何かクリエイティブなことをしていきたいです。

あと、美学生図鑑に関しては社会人になっても自分のペースで続けていきたいですね。飽きっぽい私でもブランクも挟みつつ4年も続けらてこられたので、もうちょっと先まで行ってみたいです。

―そう思えるくらい居心地が良い場所なんですね!

そうですね。久々に日本に帰ってきたときも、私が復帰することをスタッフのみんなが快く受け入れてくれたんです。この「いつでもご自由にどうぞ」っていう雰囲気が良いですね(笑)

それに、カメラマン活動を通して、自分の“日本人離れ”に自信を持てるようになったんです。

海外生活が長かったので、最初はけっこう日本人に対して遠慮してた部分があって、正直やりづらい撮影もありました。でも、今では海外でのぶっ飛んだ話を自分からしたりもするし、それで笑ってもらった方が自然な写真も撮れる気がします。

―小森さんを変えてくれた場所が美学生図鑑だったんですね。素敵なお話をたくさん聞かせてくれてありがとうございました!

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