日常を、撮りたいんです。【カメラマン青木望亜】

「美学生図鑑って、一体どんな人たちが作っているの?」という疑問に迫る、シリーズ『美学生図鑑の中の人』。
第10弾は、関西エリアで活動するカメラマンの青木望亜。立命館大学大学院に通うリケジョで、美学生図鑑のスタッフとして活動を始めて今年で5年目。カメラマンとしてのこれまでの歩みを語ってくれました。

3分で撮る現場

ー美学生図鑑には1回生の時に入ってくれましたが、カメラをはいつ頃から始めたんですか?
高校生の頃ですね。きっかけは昔、お母さんがカメラをやってて。写真が趣味っていうよりは動物好きなんですけど、ゾウに会うためアフリカまで行って写真を撮ってたんです。そのアルバムを見るのがすごく好きだったんですよ。

ーアフリカまで行くのはすごいですね。家族の写真とかも撮る方でしたか?
そうですね。私が小さい頃はまだフィルム写真の方が多かったですけど、その割にいっぱい撮ってもらったかな。写真って思い出を蘇らせる力があってずっと好きでした。

ーカメラを始めた高校生の頃はどんなものを撮ってたんですか?
写真部に入って動物とか植物を撮ってました。部活では結構いい機材が使えたんですよ。Canonの「EOS 5D」とか。

それでどんどん写真に惹かれて、今度はそれを仕事にしてみたらどんな風になるのかなって思って、1年浪人してた時にブライダルカメラマンのアルバイトを始めたんです。

ーアルバイトでも撮らせてもらえるものなんですか?
最初はドレスの裾直しからですけど、「型写真」といって決まったポーズをする写真をちょっとだけ撮らせてもらってました。

ーブライダルって一生に一度って感じで失敗出来ない現場だと思います。プレッシャーはありましたよね?
めっちゃありました。撮影時間が1分単位なんですよ。「撮ります、よろしくお願いします。」って言ってからストップウォッチで計るんです。それで何分で撮れたかを記録して。

ー時間にシビアなんですね!
披露宴って時間が決まっていて、新郎新婦はゲストに時間を割く方が優先なんです。だから、お色直し直前に3分だけ時間をもらったり。

ー短い!
長くて6分。7分とかいったら怒られます。長すぎって。すごくタイトでした。

撮るカットは決まってるし、待ち時間も長いのでその間にセッティングできるんですけど、かなり緊張するから、出来ないことが悔しくて泣きそうになって。でも、目の前に新郎新婦がいるのに泣くのはあかんから、そういう意味でプレッシャーは強かったです。

ー慣れもあるだろうけど、大変な現場でバイトしましたね。
そうですね(笑)でも、得たものもいっぱいあって、例えば被写体の姿勢の大事さがわかって今も気を付けるようにしてるし、「スナップ写真」といって式で新郎新婦を追って色々な写真を撮っていくんですけど、先輩の撮ったのを見ると泣いてる花嫁さんをすごく綺麗に写してたりとか、ちゃんと感動を記録できていてめっちゃいいなと思って。

人って反応の幅が広くて、真顔だったり、めっちゃ泣いてたりめっちゃ笑ってたり、そういう写真を見て「人を撮るのってすごく面白いな」って気付いたんですよ。

目標は学生の間に50人

ーじゃあそのバイトは結構続けてたんですか?
いや、大学に入った頃に辞めましたね。ブライダルは土日マストって感じなんですよ。

それでも写真、特に人物写真は撮りたいなって思ってたので入学してから色々なサークルや部活を見てまわった時に、ふと目に付いたのがミスキャンパス立命館の運営団体で。あっ、これ人撮れるやん!って。カメラマンとして実行委員に加わることになりました。

ー活動してみてどうでしたか?
始める前から自分がまだまだなことは認識してたんですけど、やっぱり思うように撮れない。特にモデルさんとのコミュニケーションをどう進めたらいいのかが課題でした。

ー指示することが決まってるブライダルのバイトとは正反対ですもんね。
そうなんですよね。自分が撮りたいものを描いてないと指示を出せないし、撮りたいものを思い描くためにもいろんな知識や経験がいるので、それが難しかったです。

ー練習は?
いっぱいしました。週2、3回は絶対カメラ持って出掛けて、友達を撮らせてもらったり。授業の空き枠とかで撮ってました。まずは量やと思って。量を撮らなかったらわからへんなと思ったから数をたくさん撮るようにしてました。

そのうちコミュニケーションも取れるようになっていったし、ミスキャンって企業さんとのコラボもあって限られた時間の中で、この撮影テンポならいける、とかもわかるようになってきて、まぁまぁ安定していいカットを撮れるようになったかな。

ーそんな中でどうして美学生図鑑に入ろうと?
キラキラしてたからですね。自分の写真が世に出るのであれば、ある程度技術を高めてから出したいと思ってて、ミスキャンの活動でそれがある程度出来たかなって思ったから応募しました。

ーミスコンもキラキラしてると思いますが……
写真をずっと続けていきたいなっていうのがあったので継続的に出来る環境が欲しかったんですよ。

ミスキャンってすごく勢いがあって、カメラマンとして成長できるから楽しいんですけど、1年単位の活動なんでそれ以外のことがあまり出来なくなっちゃう。理系学生で忙しいので2回生までしか出来ひんなって思ったので、それ以降も継続して出来るようなことをやりたかったんです。

ーでは、ウチに入って初めての現場のことは覚えてますか?
入ってからまずは研修として先輩カメラマンの撮影に同行しました。当時、東北エリアを担当してたカメラマンがたまたま関西に来てて、兵庫と大阪をまたいで、一日2件見学させてもらったって感じです。

人の撮影ってあんまり見る機会がなかったからすっごい新鮮でした。テンポ感だったり指示の出し方やったり、見せたいものも自分と全然違うなと思いましたね。自分の知らなかった世界が見えてくるというか。

ーそのカメラマンは上手かったですか?
上手いかはわからないですけど手慣れてる感というか、「ここはこうしてこうだよ。そうOK。」みたいな、力の抜き方が上手いなって思いました。

ー研修が終わったらいよいよデビュー戦です。どうでしたか?
モデルはミス奈良の上野貴穂さんっていう方でした。

上野貴穂さん(2017年3月掲載)

年上の方なのでただでさえ緊張してるのに、その日はスタッフが謎に多かったんですよ。カメラマンとインタビュアー、あとは研修卒業したてだったのでサポートとして編集長、普通やったら3人のはずやのに5、6人いて。

ーそれは多いですね(笑)

その日の集合写真

インタビュアーの研修スタッフもいて、さらに関東から遊びに来たスタッフもいるみたいな。1対1で撮ることに慣れてたから人がいっぱいおってどうしよってなりました(笑)モデルさんにも絶対にその戸惑いが伝わってたと思います。でも、その時の自身の最大限を出すようにして乗り切りました。

隣を歩くような距離感で

ー今まで、何人くらいのモデルさんを撮りましたか?
今で42人です。目標は50人撮ることなんですよね。

ーたくさん撮りましたね!色々な出会いもあったと思います。思い出に残ってるモデルさんは?
じきまるさん、わかります?2回撮らせてもらったんです、普通のスナップと浴衣特集で。

直原茉生さん(2019年3月掲載)

もともと被写体として活躍されてる方で、その時は京都の河原町辺りで撮ってたんですけど「この辺りにおすすめの場所があるので行きませんか?」ってじきまるさんの方から提案してくれたんです。実際に撮る時も「このポーズどうですか?」って細かく聞いてくれて、一緒に作り上げていく感じがして、それがむっちゃ嬉しくて。

ーだいたいはこっちが指示して、その通りのポーズをしてもらうことが多いですよね。
そうなんですよ。しかも、撮影場所まで提案してくれるっていうのは今までなかったことやったから余計ビックリして、すごく新鮮でした。積極的にいいものを作ろうって雰囲気が伝わってきましたね。

ー50人近く撮ってきて、日々の撮影で心掛けてることってありますか?

自然体を大事にすること。例えばポージングって色々あるけど、その人が持ってる癖、例えば髪の毛を触るとか鼻を触るとか、より自然に写すためにその人それぞれの癖を生かしたポージングを意識してます。

ー無理やりこっちのイメージする型を当てはめるんじゃなくってことですね。
手で髪の毛に触れる癖がある人やったら、その自然な仕草を生かしたタイミングで、「あ、それいい!」って言ったりして、癖も含めたその人やから、それを撮るように心掛けてます。

だから、被写体をよく観察して、その中で自分の引き出しに当てはめて撮影するような感じですね。自然体で写ってる写真が好きなので、美しく見せるためには綺麗な姿勢とかも大事なんですけど、出来たら普通に歩いてて、隣にいてるような感覚の写真を撮りたい。

ー学生生活は残り1年。就職したら撮らなくなる人もいますけど、写真はこの先も続けていく?
はい、続けていきます。将来的には自分の子どもとか家族の写真を撮りたくって。

私の最初に撮った人物の写真が公園で遊んでる子どもやったんです。その時の写真はいつ見てもいいな~ってなるんですよね。

ー子どもの写真、どんな風なのを撮りたいですか?

日常を、撮りたいんです。綺麗なのもいいし、ちょっと泥臭いのもいいし、アホなことしてるのもいい。人って日常によって構成されてるって思うので、非日常的なこともいいんですけど、私は日常を大切にしたいなって。

そういう写真が撮れたら自分が幸せになって、それを見た周りも幸せになって、それがどんどん広がっていくんじゃないかって思います。

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